あれこれ日記

趣味の話とか

万丈梓『恋する(おとめ)の作り方』

トランスフェムあるある話のひとつに、「子供のころ漫画やゲームの女装キャラ/男の娘キャラなどなどが好きだった」というのがあるかと思います。(あんまり男のひととそういう話をしないので、トランスマスクのひとたちが同じような話をしがちなのかはわか…

スタニング沢村『佐々田は友達』(文藝春秋)

「大丈夫、バレないから安心して」まるで宇宙人のように理解できない、同級生女子の頼み事 | 文春オンライン この漫画、すごくいいです! おすすめ! カムアウトできず、できるともたぶん思っていなくて、周りから期待される女性としての性別をとりあえず生…

高井ゆと里・周司あきら『トランスジェンダーQ&A 素朴な疑問が浮かんだら』(青弓社)

トランスジェンダーQ&A 素朴な疑問が浮かんだら | 青弓社 シスジェンダーにとってわかりやすい視点でトランスジェンダーについて語る本はいろいろとあるけれど、実際にはシスジェンダー中心の社会で一般化されている概念枠組みにはトランスジェンダーの現実…

The Cosmic Wheel Sisterhood(ネタバレ)

Deconstructeam deconstructeamによるゲーム。私はSwitchでプレイしました。 このゲームを何ゲームと言えばいいのかわからないのですが、魔女フォルトゥナを操り、自分自身のタロットデッキを作って、悩みを相談しに来る魔女たちに占いをするゲーム、ととり…

映画『オーメン・ザ・ファースト』(ネタバレあり)

映画『オーメン:ザ・ファースト』|20世紀スタジオ公式 見てきました。 ホラーが大の苦手で、周りの人々がギャグコメディ扱いしていた『貞子vs伽耶子』を見て怖すぎて眠れなくなったりして、ホラーなんて『死霊の盆踊り』くらいしか直視できないのではない…

Baldur's Gate3(2周目、ネタバレあり)

2周目をクリアしました。1周目はドラウのウィザード(シングル)でシャドウハートさんとお付き合いしてのクリアでしたが、今回はウッドエルフのバード(ファイターとローグとマルチクラス)でカーラックさんとお付き合い。 カーラックさんのエンディングは、…

Baldur's Gate 3(ネタバレあり)

やっっっとクリアしました! 80時間ちょっとかかった。 バルダーズ・ゲート3 | スパイク・チュンソフト 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の世界観とシステムを踏襲したゲームで、私はよく知らないけど魔法とかも全部そのままみたいです。 主人公は用意されてい…

Vampire Survivors

poncle | Vampire Survivors poncleによるアクションゲーム?シューティングゲーム?なゲーム。手頃な価格でありつつ中毒性があります。 2Dのマップをうろうろしながら敵を倒し、生き残っていくゲームなのですが、そこに武器やアイテムのランダム取得要素が…

Katharine Jenkins (2023) Ontology and Oppression

https://global.oup.com/academic/product/ontology-and-oppression-9780197666777 ジェンダーアイデンティティ論文などで知られるキャサリン・ジェンキンスさんの、たぶん初の単著。ジェンキンスさんは2016年の"Amelioration and Inclusion"が『分析フェミ…

群像2024年3月号

今月出た群像の「言葉の展望台」は、珍しく日常の体験などの話はあまりせず、哲学の話に振り切ってみています。 テーマは哲学方法論。私は概念分析以外の手法をほぼ知らないので概念分析の話に焦点を絞っていますが、しばしば「どんなことでも哲学になる」と…

丸山正樹『逃走の行先』、白川尚史『ファラオの密室』、東野圭吾『あなたが誰かを殺した』

なんだかミステリ気分で、きのうきょうと読んだ三作。 丸山さんは、ほかの作品もそうですが現実の社会問題、とりわけさまざまなマイノリティがこの社会で陥る苦境をしっかり作品に反映しつつミステリにしていくのがすごいですね。今作は『デフヴォイス』シリ…

映画『ミツバチと私』(ネタバレあり)

映画『ミツバチと私』オフィシャルサイト| 公式サイトのあらすじ 夏のバカンスでフランスからスペインにやってきたある家族。 母アネの子どものココ(バスク地方では“坊や(坊主)”を意味する)は、男性的な名前“アイトール”と呼ばれることに抵抗感を示すな…

八目迷『ミモザの告白』(4)(ガガガ文庫)【ネタバレあり】

ミモザの告白 | 書籍 | 小学館 高校生の男の子咲馬と、その幼馴染のトランスの女の子汐を中心とした高校生たちの青春を描く作品の第4巻。 1巻では汐のカムアウト&トランジションと咲馬を筆頭としたクラスメイトたちの戸惑いと受容が語られ、2巻では文化祭で…

2023年振り返り

今年はちょっといろいろあって、メンタルヘルスのダメージの大きい一年でした。そのおかげでいろんな連絡や仕事が滞ってしまって、各方面に申し訳ないです…。 今年の仕事としては、論文は3本出ています。いずれも招待論文ですが、まず『哲学の探究』に「共同…

Citizen Sleeper (Fellow Traveler games)

Citizen Sleeper — Fellow Traveller Games Fellow Traveler gamesから発売されているアドベンチャーゲーム。勧められてやってみたら、これがとんでもなくよかった! 来年には日本語版も出て、あと次回作の発売も予定されているみたいです。 主人公は「スリ…

GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost Hunter- @大阪城ホール

行ってきました! GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023-The Ghost Hunter- 特設サイト エッセイにも書いたことですが、中学高校のときにGLAYがすごく好きだったのに、そのあと長いこと距離を置いていた時期があるんですよね。頑張って男性になろう、ならない…

ももちの世界『皇帝X』(@インディペンデントシアター2nd)

ももちの世界 — NEXT ももちの世界の新作を見てきました。 第二次世界大戦の戦争責任を問われていた人物が神の祝福を受けて日本の皇帝として君臨するようになり、以後70年に渡ってその座に収まり続けているという架空の日本が舞台。 皇帝は陰謀論に染まって…

李琴峰『肉を脱ぐ』(筑摩書房)

筑摩書房 肉を脱ぐ / 李 琴峰 著 自分自身の肉体に強烈な嫌悪感を持ち、小説家としてのペンネームである「柳佳夜」に肉体を持たない存在を託そうとする主人公が、同姓同名の吸血鬼Vtuberの登場によりなりすまし疑惑をかけられ、存在を奪われるという危機感と…

映画『マーベルズ』(ネタバレあり)

マーベルズ(The Marvels)|映画|マーベル公式 見ましたよ! もうね、最高でした! もともと『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』のときに気になってMCUを一気見し、その過程で『キャプテン・マーベル』でキャプテン・マーベルにとてつもなくときめい…

藤田和日郎『黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ』

黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ|モーニング公式サイト - 講談社の青年漫画誌 これまでジャンピングジャック、ナイチンゲールを取り上げてきた黒博物館シリーズの三作目。と言っても、私はずっと追いかけていたわけではなく、むしろ本作をきっかけにまとめ読…

2023年10月、11月の仕事など

10月、11月にいろいろあったので、まとめます。 まず、10月14日に北海道大学にお呼びいただき、公開シンポジウム「LGBTQを「理解」するとは?」で「マイノリティの「理解」とコミュニケーション」という発表をしました。 三木 那由他 (Nayuta Miki) - マイノ…

トランスジェンダーで、解離性同一性障害で(Emma Grove, The Third Person, 2022, Drawn & Quarterly)

https://drawnandquarterly.com/books/third-person/ とてつもない作品でした。 著者の体験をもとにした自伝的なグラフィックノベル。主人公はトランスジェンダーの女性で、けれどずっと勤めていたレストランで女性として勤務したいと相談したものの拒否され…

舞台『かげきしょうじょ!!』

見たいと思いつつ、東京でしかやらないので諦めていた作品。でも配信があると知って、見てみました。 舞台「かげきしょうじょ!!」 さらさちゃんの愛ちゃんとの出会いと紅華入学から始まり、ロミオとジュリエットを題材にした初めての演技まで、歌とダンスを…

岡野大嗣『うれしい近況』(太田出版)

岡野さんの第四歌集。神戸のジュンク堂にサイン本があったので、せっかくだからとサイン本を買ってみました。サインが可愛い。私も可愛いサインができるようになりたいです。 岡野さんの短歌は、確かに知っている、でもこれまで特にわざわざ言葉にしたことの…

朱喜哲『〈公正〉をのりこなす』(太郎次郎社エディタス)

プラグマティストとしての朱さんの姿勢が全面に出ている本でした。よくあるプラグマティズムの本は、プラグマティストの思想を解説するものかと思いますが、これは朱さん自身がプラグマティズムを実践している本という印象です。 本の内容としては、ロールズ…

ハイテンションなトランジションストーリー(Sara Soler (2023) US)

Sara SolerのUSという漫画を読みました。 WITNESS THE STORY OF US :: Blog :: Dark Horse Comics もとはスペインの漫画ですが、私が読んだのは英訳版。 エッセイ漫画で、著者サラとそのパートナーのダイアナが主人公です。ずっと男性と認識されて生きてきた…

山口智美・斎藤正美『宗教右派とフェミニズム』(青弓社)

宗教右派とフェミニズム | 青弓社 右派議員と生長の家、日本会議、統一教会といった宗教団体との連携を押さえながら、2000年代の「ジェンダーフリー」バッシングに至るまでの歴史的な流れを確認したうえで、それが「親学」、「女性活躍」、自民党改憲案、「…

原作:村野真朱/作画:依田温/監修:杉村啓『琥珀の夢で酔いましょう』(マッグガーデン)

琥珀の夢で酔いましょう - 原作:村野真朱/作画:依田温/監修:杉村啓(「白熱ビール教室」著者) / 第1話「Fly Me to the Amber Dream」 | MAGCOMI あっという間に読んでしまいました! どうして私、この漫画をいままで知らずにいたの…!? とにかく女性や…

愛染マナ『俺の美女化が止まらない!?』(宙出版)

俺の美女化が止まらない!? - 宙(おおぞら)出版 たまたま見かけて読んでみました。いま出ているのは2巻までです。異性装の話はもちろん感覚がよくわからないところも少なくないのだけど、でもやっぱり一部の経験が重なるところもあるので、とりあえず読んで…

孤伏澤つたゐ『ゆけ、この広い広い大通りを』(日々詩編集室)

ゆけ、この広い広い大通りを | HIBIUTA ONLINE SHOP これもぜひ読んでほしい作品です! それぞれ経験も辿ってきた道も異なる三人の女性の人生が交差する瞬間の話です。 主人公のまりは、幼いころから過ごした地元にずっと暮らしていて、夫と二人の子どもがい…