あれこれ日記

趣味の話や哲学のこと

スタニング沢村『佐々田は友達』(文藝春秋)

「大丈夫、バレないから安心して」まるで宇宙人のように理解できない、同級生女子の頼み事 | 文春オンライン

この漫画、すごくいいです! おすすめ!

カムアウトできず、できるともたぶん思っていなくて、周りから期待される女性としての性別をとりあえず生きつつ、将来はおじさんでありたいと感じている高校生の話。

この、友達もいるし、なんとなく楽しいこともあるし、淡々と過ぎていくのだけど、でも将来設計とかを聞かれたら何も出てこないし、根本に「自分には価値がない」という感覚があって、それが全体の基調をなしている感じ、めちゃくちゃわかる!

私の好きなトランス小説(トランスの作家さんが書いているもの)でも「将来のことを考えようとするとただ真っ暗闇が広がっているだけで、何も見えない」みたいな一節があるのですが、そうなんですよね。具体的に像を結ばない。漠然と周りに合わせて「この年代で就職して、結婚して、……」という話はしようと思えばできるし、してきたけれど、でも本当はその「将来」に自分がそもそもいると感じられていないというか。

ちなみに私の(一時期の)将来の夢は「無人島でひとと交流することなく大きな犬と暮らす」でした。「自分がこの世界にいた痕跡を残したくない(写真とか無理)」などとよく言ってたけど、できたら生きているうちからこの社会から姿を消したかったんですよね。

いまは無人島とか寂しそうだし体も弱いし、行きたくないなって思います。

ともあれ、トランスのひとたちに読んでみてほしい漫画です。