あれこれ日記

趣味の話や哲学のこと

2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【対談しました】哲学にいま、何ができるのか 前編(「抵抗のためのダイアローグ第4回」)

小説TRIPPERの2025年秋号にて、哲学者の朱喜哲さんと話しています。 いまの社会の問題について言語哲学的に何が言えるのか、私が哲学に感じる無力感と、いま哲学で何ができるのかなどなど、いろいろ話しました。 今回は内容があまりに盛りだくさんになったの…

芦沢央『神の悪手』

すべてが将棋をテーマにしたミステリ短編集。ミステリで将棋というとなんとなくトリックのためのギミックとしてのみ使いがちな、あまりよくない印象もありますが、本作はむしろ記事を中心とした将棋に関わる人間の心理に焦点を当てていたり、対局や詰将棋が…

ダグラス・ウォーク著/上杉隼人訳『マーベルコミックのすべて』(作品社)

3万冊近いマーベルコミックをほぼすべて読破した著者によるマーベルコミックガイド! これはもう、マーベルファンとしては読むしかない本です。 そう、マーベルコミックって歴史が長いうえにあのクオリティの絵で毎週たくさんの新作が公開されるんですよ。日…

【書きました】このマンガもすごい!『ザ・バックラッシャー』

岡田索雲さんの『ザ・バックラッシャー』を紹介しています。本作は、バックラッシュを担う側に焦点を当てた、いわば裏側からのフェミニズム漫画です。おすすめです。 岡田さんはほかにも素晴らしい作品をたくさん描いていらして、トランスジェンダーの経験を…

【書きました】思い出を語る、哲学をする(「可愛い哲学」)

『群像』10月号に「思い出を語る、哲学をする」という文章が載っています。哲学は客観的で学術的な議論をするもの、だから個人的な思い出話なんて哲学にならない、みたいな考え方もあると思うのですが、なかには可愛らしい思い出話が哲学の根幹になるような…

逸木裕『彼女が探偵でなければ』

ここ最近読んだミステリのなかでとりわけ気に入った作品。夫もあり二児の母である探偵と言う主人公が、まずいいですね。男性の探偵はバリエーション豊かに思えるけど、女性の探偵って若かったり現実離れしていたりなひとがほとんどに感じられて、その点、本…

王谷晶『父の回数』

英訳版『ババヤガの夜』のダガー賞受賞で非常に話題になっている王谷さんの短編集。『ババヤガの夜』のほとばしる暴力性もかっこよくて楽しかったけど、こちらのしっとり目の雰囲気もいいですね。 「姉妹」のふりをして一緒に暮らしている女性同士カップルの…

周司あきら『ラディカル・マスキュリズム』

男性学の歴史を語り起こしながら、反フェミニズムでも「反省」でもない、男であることを受け止めつつ半フェミニズムへと向かう立場を構築していこうという本。たいへん面白かったし、歴史の話など勉強になりました。 もちろん一概に言えるわけではないけれど…