あれこれ日記

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マイケル・ブロンスキーほか著・藤崎百合訳・清水晶子監修『LGBTQ+の歴史』

LGBTQ+の歴史 :マイケル・ブロンスキー,藤崎 百合,清水 晶子|河出書房新社

少し前に読んだ本ですが、かなりよかったです。私はこれまでトランスコミュニティやクィアコミュニティにこれといって属しておらず、先人たちとの交流もわずかにしかありません。性別やジェンダーモダリティやセクシュアリティは、地域で継承されたり親から子に受け継がれたりするようなものでもないでしょうし、そうすると、率直に言って私は現在の自分自身に至る人々の歩みの歴史というのをほぼ知らないんですね。

もちろんストーンウォールのことだとか日本のブルーボーイ事件とか、そういうよく知られていることについては多少わかっているつもりですが、長い歴史から切り離されてふわふわしている感じがある。

本書は、先史時代から始まり、古代、中世、近代を経て現在に至るまでの歴史を、近年の研究成果を踏まえつつたくさんの写真とともに語っていき、これまでに確かに存在していた、いまで言うとLGBTQ+な人々へ繋がるような者たちの足跡を示してくれます。

アメリカやヨーロッパだけでなく、アジアやアフリカ、中東などへの言及もあり、またヨーロッパの国々に植民地化されて地域の先住民への言及も多く、これまで「二元的なジェンダーやシスヘテロ中心主義は植民地主義と結びついている」というような話にあまりピンと来ていなかったのですが、確かにそこは強く結びついているのだと実感させられます。そうしたジェンダーセクシュアリティへの見方は決して必然的でも自然でもなく、さまざまな地域にそれ以外のあり方があったにもかかわらず、植民地化のなかで悪しき旧習として否定されていき、現在なLGBTQ+の人々への迫害に続いていく。なぜいまの世界がこうなのかというのを、いくらか理解しやすくしてくれます。

また、単に歴史を語るだけでなく、いまこの現時点での状況についての説明も多く、LGBTQ+に当たるひともそうでないひとも、とにかくうちに一冊置いてLGBTQ+の社会状況について考えたくなったらいつでも参照できるようにする、くらいのことをしてほしいと感じました。

高いし分厚いし(物理的に)重い本ですが、とてもいい買い物でした。