あれこれ日記

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【ネタバレあり】服部まゆみ『ハムレット狂詩曲』

『この闇と光』などの服部まゆみさんによる作品。日本出身でイギリスで活躍するシェイクスピア俳優/演出家が、日本の劇団のもとでハムレットの演出をしながら、復讐を果たそうとひっそり策謀を巡らす話。

……なのですが、ずっと不穏な空気はありつつも、なんだかんだでどちらかというと喜劇的な作品に仕上がっていて、そこが面白かったです。ハムレットは言わずと知れた復讐譚ですが、本作はあちこちでハムレットとリンクする展開が生じつつも、その要素の意味づけが少しずつ食い違っていっているのがいいですね。あの有名悲劇とこれだけ要素を共有させてこんな喜劇に仕上げられるんだ、という驚きがあります。キャラクターもみんな魅力的。

クィアカルチャーというよりは耽美的な文脈だと思いますが、服部まゆみさんは『この闇と光』で少しツイストのあるトランスキャラクターを登場させていて、本作でも主人公がゲイだったりして、なんとなく私には読み心地がよく感じます。

『この闇と光』も大好きだし、かっこいい系の探偵がなかなか事件を解決できない『一八八八切り裂きジャック』もかなりおすすめです。『切り裂きジャック』は、なんとなく頭のなかで夢幻魔実也的な探偵イメージで読んでましたね。