あれこれ日記

趣味の話や哲学のこと

南Q太『ボールアンドチェイン』(2)、『ぼくの友だち』

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南Q太さんの新刊2作です。そしてなんと、『ボールアンドチェイン』2巻の帯文を書かせていただいています!

私たちの社会では、生まれた時点で本人の意思も確認しないままに勝手に男か女かという性別を割り振って、一度割り振られたらその性別通りに発達することを期待され、成熟したら男女で恋愛をし、つがいになり、新しい子を生み出すということを望まれます。それがこの社会の「普通」。

でも、現に生きている私たちは必ずしもその「普通」の通りに生きているわけでも生きられているわけでもありません。期待されている性別を生きられないひと、異性への恋愛をしないひと、異性とカップルにならないひと、子を持たないひと、……いろんなひとがいる。いるのに、いないことにされたり、それが何か「おかしい」こととされて、「普通」に合わせるよう求められていたりする。ときには自分自身でも自分のことがわからなくなってしまうほどに。

南さんはもとからそうした「普通」に乗れない人々をしばしば描いてきた漫画家さんだと思いますが、今回出た2作はそうした視点がとりわけ強く、「普通」に合わせられないひとにとって救いとなるような作品になっていると思います。

『ボールアンドチェイン』では、主人公のけいととあやが、苛立ちや困惑を抱きながらも少しずつ「普通」からずれている自分を見出していっている。『ぼくの友だち』はそれに加えて、「恋愛でも性愛でもない、かけがえのない絆」を描いていて、それが託されたこのタイトルが本当に素敵。

規範的な性のありかたに合わせられず、孤独を感じているひとたちにぜひ届いてほしい2作です。