言語哲学者の和泉さんの新刊。院生時代は和泉さんも東大の藤川直也さんも私もかなり抽象的なことをやっていた記憶があるのですが、何だかいつの間にか三人ともこういったテーマの話が増えていて、面白いですね。私の世代って言語哲学者が少ないので、その少ないひとたちの関心が紆余曲折を経て収束している感じ。
和泉さんの同様のテーマの本には『悪い言語哲学入門』(ちくま新書)、『悪口ってなんだろう』(ちくまプリマー新書)があり、いずれも「ランキング」を操作する行為という観点から悪口のような現象が説明されていました。本書もその基本ラインは踏襲しつつ、さらにランキングを多次元化することで、褒めや自虐などもすっきり語っています。語り口はかなり平易で専門的な知識はまったく必要ないかと思います。知っていたら知っていたで「これあの辺の話だよね」と思えたりする楽しみはありますが。
フリッカーやアーメッドにも言及がありますが、構造的な差別を捨象できない根本的な背景にした事象よりは、比較的ニュートラルな場での言葉の力の働きに大きく注目している内容なので、その点でもライトな読み心地かと思います。