あれこれ日記

趣味の話とか

トランスジェンダー・マーベル・ヒーロー!(Marvel's Voices: Pride 2022)

実はMCU映画が大好きで、そこから派生するかたちでMarvelの漫画も読んだりしています。Marvelはサブスクサービスが日本からも利用可能で、一生かけても読み切れないくらい膨大なコミックが定額で読めるんですよ! 確かDCは日本では利用できなかったはず(私が確認したときには)。

で、そんなふうにハマっているMarvelですが、実はLGBTQ+コミュニティのためのアンソロジーをいくつか出したりしています。たぶん一昨年のプライド月間に初めて出して、去年もプライド月間に出して、という感じかな。今後も毎年出てほしいですね。

 

Marvel世界のトランスジェンダー

一昨年の号でもトランスジェンダーのキャラクターは出てきていて、シーハルクを見て自分の体格を受け入れられるようになってシーハルクのコスプレをしたりするようになったというトランスの女の子にシーハルクのライバルであるタイタニアが間違って襲いかかって、そしてそれがきっかけでいい雰囲気になるという百合短編が掲載されたりしていました。それも可愛らしいし、マーベル世界にトランスのひとがいるとわかって嬉しいけれど、でもあくまで普通のひとでした。

Marvelといえばミュータントたちの集団X-MENがいたり、超技術スーツでアイアンマンが飛び回っていたりという世界。やっぱり、スーパーパワーを持ったトランスヒーローもいてほしい!

そしてそんなヒーローが、2023年のMarvel's Voices: Prideで登場しました! EscapadeことShela Sextonです!

 

Marvel世界でもトランスは支え合って生きている

シーラは黄色い少しぶかっとしたジャンプスーツに水色のジャケットにゴーグルといういでだちの女の子で、なんの技術なのかよくわからないけど、手と足からジェットを噴射して空を飛びます。もしかしたらMarvel世界では手足から噴射するジェットくらいその辺で調達できるのかも。先だけど青く染めた髪もキュートです!

そして、シーラはなんと、ミュータントかつトランスジェンダー! Marvelの世界でのミュータントというと苛烈な差別を受け続けている存在で、映画のX-MENシリーズでもその辺りは描かれていたから有名ですね。つまりシーラは女性でミュータントでトランスジェンダーというトリプルマイノリティなヒーローなんです。

その能力はどんなものかというと、「近くにいる他者と立場を入れ替える能力」。身体的ダメージも入れ替えるし、場所も入れ替えるし、社会的地位や人間関係も入れ替えられる。要するに相手になり変われるんですね。「便利すぎない?」と思うけれど、制限時間を過ぎると元に戻ってしまうし、周りのひとに違和感を持たれても戻ってしまうから、そこまで便利でもないのかも。シーラはこの能力を駆使してトリッキーに戦います。

シーラにはMorgan Redという相棒がいて、モーガンからサポートを受けながら活動しています。スパイダーマンの映画で「椅子の男」の言われていた立ち位置のキャラですが、シーラの幼馴染でトランスマスキュリンでミュータントな子として描かれています。モーガンの能力「トランスチョコリフィケーション」は、有機物をチョコレートに変化させる能力。子供のころのモーガンは「こんな能力役に立たない」と嘆きますが、いや、それ強くない?ほぼほぼドラゴンボール魔人ブウじゃない?と思うものの、こちらも制限があって8オンス=230g弱のものしか変化させられない模様。作中ではキノコをチョコに変えてシーラと食べたりしていました。

シーラの物語では、ふたりの現在の活躍が描かれるとともに、そこかしこでピーナッツ風の絵柄でふたりの子供時代も挟まれていて、ふたりがずっと支え合って生きてきたのがわかるようになっています。ミュータントでトランスジェンダーであることに苦悩するシーラに、モーガンが「僕もだよ!」と言うシーンは可愛らしいし、シーラがミュータントであることを両親に告げたらサポーティブな反応をもらえたのにトランスだと告げたら「頭がおかしい」「洗脳されている」などと罵られ、家に帰れなくなる話は悲しくなります。「あの世界でミュータントよりも拒絶されるトランスジェンダー、あまりに状況が過酷すぎない?」と慄きますね。でもモーガンに「じゃあうちにおいでよ! ずっとお泊まり会だよ!」と誘われるあたりはやっぱり可愛いですね。こんなふうにして、ふたりはずっと支え合って生きています。

それだけでなく、本作中ではトランスジェンダーのミュータントたちの自助グループも描写されています。

そして、New Mutantsへ!

こういうふうに特別編のなかで出てくると「それっきりのキャラなのかも」と思ってしまうところですが、なんとシーラはいまNew Mutantsに登場してそちらでも活躍中です。モーガンとふたりきりの世界を大事にしてきたシーラですが、エマ・フロストから能力の暴走によって誰よりも大事なモーガンを傷つける未来を告げられたことで、モーガンを守るためにミュータントたちの独立国家クラコアに移り、能力のトレーニングをすることになりました。

 

とにかくもう、感無量ですよ。むかしアイアンマンにハマって、いまはスパイダーマンがきっかけでMCUを制覇し、キャプテン・マーベルやMsマーベルを愛し、近々出るアイアンハートに胸を高鳴らせているなかで出てきたトランスガールスーパーヒーロー! 活躍を見続けたいし、映像化してほしい…! DCのほうにはすでに『スーパーガール』でオープンなトランスジェンダーであるニコール・メインズ演じるドリーマーというキャラが登場しているので(見れていませんが…)、ぜひMarvelのほうでもトランスの俳優さんによるシーラとモーガンを登場させてほしいです!

前に『ブラックパンサー』がアメリカのブラックコミュニティでどれだけ愛されているかを示すような動画を見たりしましたが、やっぱり自分にとって重要な点で同じグループに属すキャラクターの活躍を見られるのって、最高ですよね。

日本でもたまには『ジャンプ・プライド』とか『なかよしプライド』とか出してくれたらいいのに。