https://www.20thcenturystudios.jp/movies/next-goal-wins
タイカ・ワイティティ監督によるサッカー映画。劇場公開時に見たかったのだけど、体力がなくて行けなかったんですよね。配信でようやく見ました。
成績が振るわず解任された監督が公式戦で一度もゴールを決めたことのないアメリカ領サモアのサッカーチームに行くことになり、公式戦最初の一点を目指すお話。
全体的にコミカルでありながら、主人公が抱え込んでいる有害な男性性やサモアの人々を見下す目線も無視せず、それとともに「白人の救世主がやってきて助けてくれる」からも「遠い南の島で本当の自分を見つける」からも（その要素は確かにあるのに）うまいこと距離をとっていて、楽しい映画でした。ワイティティさんっぽい。
そして、サモアのサードジェンダーである「ファファフィネ」の選手（AMABでフェミニンなエクスプレッション）がいて、それがめちゃくちゃよかったです！ ジャイヤというキャラクターなのですが、実話をもとにした映画だそうで、この選手も実在するみたい。ぜんぜん知らなかった！
ホルモン治療の効果で周囲の選手に比べて華奢で、しかももしもここから先さらに身体的な移行を進めるともう男子サッカーには出場できなくなる、その非常に困難な状況で、それでもチームを引っ張っていく活躍をするのが本当によくて、試合でのゴールシーンなどは涙ぐんでしまいました。
最初はデッドネーミングをわざとして侮蔑するような態度を取る主人公が、次第に打ち解けていって、亡くなった自分の娘と重ね合わせていくというのも、ベタだけど私は好きです。
いや、活躍するのもですけど、もうとにかくジャイヤが単純にあらゆる場面で可愛くて、たまらないですね。いつまでも見ていたい。演じているカイマナさんもファファフィネ当事者のかたらしいですが、すてきトランスフェムが活躍する姿を見るほど幸せな時間はなかなかないですね。
思い返してみると、トランスって現実でも小規模な大会は知らないけど中継があるような大きなスポーツ大会にはほぼ出ることがないし、フィクションではそもそもトランスの存在自体がないことが多いから、トランス選手がスポーツで活躍する姿を見たのってこれが初めてかもしれない。（テンプレオネエキャラみたいなのは漫画などではたまに出てくるけど……）
もともと私はスポーツへの関心がかなり薄いのですが（自分は中学時代に体育を拒否しだしてからほぼしていないし、そのせいでスポーツが好きなひとの気持ちもわからないし、スポーツ中継とかもクィア選手の活躍以外あんまり興味ない……）、トランス選手は見ていて楽しめそうなので、どんどんスポーツものに登場させてほしいです。
