あれこれ日記

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The Unstoppable Wasp (2018-2019)(ネタバレあり)

https://www.marvel.com/comics/series/25796/the_unstoppable_wasp_2018_-_2019

すごく面白かったです! 前作で結成した若き女性科学者たちのチームG.I.R.L.ですが、今回は研究成果の発表とさらなる仲間を求めてG.I.R.L. Expoの開催を目指すことに。けれど彼女たちを利用したいA.I.M.に狙われることになってしまいます。

全編を通して、敵も味方も女性科学者チームなのが熱いですね。敵のほうは、暴れているばかりであんまり科学者感はないけど(なんか謎の火山を召喚したりはする)。G.I.R.L.メンバーが、スーパーパワーや戦闘能力を持っていないひとも含めてみんなで協力して戦うのもいい。車好きのメカニックのタイナが、最後にロボットに変形する車で戦うのはちょっと笑ってしまいます。最終的に敵も含めてハッピーな終わり方なのも気持ちいい。

そして本作はなんといってもナディアの双極性障害の受容がテーマとして大きく扱われています。大事な仲間たちが襲われたことによるストレスをきっかけに強烈な躁エピソードが始まってしまい、眠ることもできず、休むこともできず、大事だったはずの仲間まで傷つけながら無闇に突き進んでしまうナディアの姿が辛い。でも、ハンク・ピムの双極性障害と向き合った経験のあるジャネットを中心にナディアを受け止めるとともに、ナディアも自分が助けを必要としていることを理解し、しっかりと病院に通い、薬を飲む、カウンセリングを受ける、カフェインを避けるといった工夫をしながら双極性障害である自分を受け入れていく、というのがすごくいい。

周りを傷つけてしまったと自覚したあと一気に鬱転してしまい、自己否定に向かってしまうナディアを、プリヤが必死になって助けに行くシーンは、涙ぐんでしまいます。

いままでそこまで大っぴらに話してきていないけれど(かと言って、特に積極的に隠していたわけでもないけれど)、私自身も双極性障害(ナディアは1型っぽい描写に見えるけど私は2型)で定期的に通院して毎日薬を飲みながらどうにかこうにか暮らしている身で、エッセイ漫画など以外で、かつ偏見に基づいたものや悪役的な描き方以外に、あまり漫画で双極性障害の描写を見たことがなくて寂しく思っていたのですが、しっかり助けを求めてきちんと薬を飲んで双極性障害と付き合いながら戦うヒーロー、しかも女性でアカデミックなキャラクターがいるというのは、すごく嬉しいです。

本作はメンバーの人種もいろいろで、車椅子ユーザーもいて(ナディアがエイブリズム的な見方をしているのではないかと指摘するシーンも軽くだけどあったりする)、メンバー内で女の子同士のカップルもいて(清々しいくらいいちゃついている)、そして主人公は双極性障害で、こういう作品を見ると、「このひとたちのなかだったら自分も生きていけるかも」と思えたり、仲間を応援するような気持ちになれたりして、より一層のめり込んで読めるのが楽しいです。

ナディアもエスカペードもグウェンプールも、MCUに登場してほしいな。来年だかにアイアンハートが出るし、エスカペードはあんまり関係ないけどチャンピオンズ繋がりもあるし、いろいろ出てこないかな。

あ、ナディアがチャンピオンズの一員になっていたのは、実は知りませんでした。チャンピオンズ周りは結成直後あたりまでしか読んでいない……。