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サンソフト/シティコネクションから出ているゲーム。1991年(33年前!)に発売されたFCゲーム『へべれけ』に、クイックセーブ/ロードやリバース機能などをつけた移植版です。
へべれけシリーズってどのくらい知られているのでしょう? 私は子どものころに弟が買ったのだったかな、『ポポイッとへべれけ』というゲームをやったことがあって、キャラクターは知っていました。
こんな子たちです。画面は『へべれけ えんじょいえでそん』のもの。
右上の雪だるまみたいなペンギンみたいなよくわからない子が主人公の「へべ」。語尾に一貫性がなくて、「ぴょー」とか「ぷひょー」とかいろいろ言います。
左上のカワウソのような猫のようなよくわからない子は「おーちゃん」。高飛車なお嬢さま言葉でしゃべり、セリフのあとに「(たかわらい)」とかついたりします。
左下のおばけみたいなよくわからない子は「すけざえもん」。ふわふわします。
右下の半魚人みたいなよくわからない子は「ぢぇにふぁー」で、爆発する何かよくわからないものを口から吐いたりします。
みんなよくわからない。世界観もよくわからなくて、基本的に変なものしかいません。
なんかね、昔からこういうわけのわからないものたちが集まるような作品が好きだったんですよね。「ふつう」でない可愛い生き物たちの話。デザインや言動だけでなくて、「第二形態になったらまったく動かずプレイヤーのなすがままになるだけのボス」とかもいて、ゲーム的にも「ふつう」からはみ出している存在がいるのがいいですね。居心地がよくて安心します。「ふつう」でもないし、「生産性」もないものたちの楽しい世界。
『へべれけ』は、簡単にまとめるとメトロイド的なゲームです。横スクロールアクションで、ひとつの世界が広がっているかたち。最初は行き止まりになるところが多いのですが、仲間が増えたり道具を見つけたりするとだんだんとできることが増えて行動範囲が広がっていく。そうして世界を探索しながら、この世界を脱出する方法を探っていきます。
おーちゃんは水面を泳ぐことができ、すけざえもんは対空時間が長く、ぢぇにふぁーは水中に沈むことができる(「潜る」というか、「沈む」)、という具合。
難易度もバランスがよくて、まったくゲームオーバーにならないという感じではなく、たまにちょっと強いボスがいたりもしますが、でもそこまでどうしようもなく強かったりはせず、ほどよく楽しめます。四人が満遍なく活躍するのもいいですね。
あと何と言っても、音楽とグラフィックがいいんですよね。音楽はFCには思えないようないろんな音がしっかり聞こえる凝ったものだし、グラフィックはキャラクターがちょこまかとたくさん動いて、めっちゃくちゃキュートです。水底で速足になるぢぇにふぁーのとことこ感が好き。
いまのゲームと比べたら、ゲームオーバーのたびにライフが10になる(最大は250なのに)とか、そのわりに最大値まで回復する手軽な場所がないとか、テレポート移動がないのにゲームオーバーのたびにスタート地点に戻されるとかが、不便ですかね。でもキャラと世界が可愛いから、動き回るだけで楽しいし、そこまでは気になりません。Switch版だとクイックセーブ/ロードやリバースもありますしね。
癒されたいひと(で、レトロゲームが苦手でないひと)におすすめのゲームです。
どうやら、『へべれけ2』というのも今年出ていて、さらに『はしれへべれけ』というレースゲームもリメイク予定らしいですね。へべれけシリーズ復活を目指しているのでしょうか。
ところで、たぶんいま『へべれけ』をやって喜んでいる哲学の研究者は日本に少ないと思うので、『ユリイカ 特集サンソフト』で「へべれけと哲学を語る座談会」とかやるときには呼んでほしいです。(特集ベセスダにも呼んでほしい)